バングラデシュのニュース(2015/10/10) その1

==== ご案内 ====
日本バングラデシュ協会 第10回 行事のお知らせ
11月6日(金)【講演会開催】
 http://goo.gl/9EDL4f

【講演会開催】
日本で半世紀暮らしたバングラデシュ人から見た国際交流と相互理解の挑戦

講演者: 七田央氏 Mr. Hisashi Shichida (ジアウル・イスラム、Ziaul Islam、)
日 時: 2015年11月6日(金) 18:30-20:30 (開場:18:15)
会 場: 聖心女子大学二号館三階30番教室
     http://www.u-sacred-heart.ac.jp/access/
参加費: 個人会員・法人会員: 無料
     当日入会申し込みの方も無料となります。
     非会員(一般 1000円/学生 500円、但し聖心女子大学学生は無料)
申込方法:http://goo.gl/forms/VbY1xwdVLD

案内文
二十歳で祖国から日本に渡り、日本語を学んだあと商船大を卒業、25年間船会社に勤務。
その後日バ間の貿易を専門とする貿易会社を設立された七田央さんは、在日バングラデ
シュ人からも、知バングラ派日本人からも信頼され、頼りにされています。その彼の口
から、彼の半世紀の体験を傾聴し、国際交流と相互理解の重要さや困難さについて、
議論を交わします。

==== ここまで ====

◆イベント情報◆
○写真展:「大河流流」草間徹雄写真展   横浜 10月8日~13日
 インド・アルナチャールからバングラデシュ・コックスバザール
 http://www.saiyu.co.jp/newspaper/event/photo_exhibition_kusamatetsuo_1510/index.html
○日本バングラデシュ協会 第9回 行事 10/21
 http://goo.gl/4VqYr9
○日本バングラデシュ協会 第10回 行事 11/6
 http://goo.gl/9EDL4f

■見出し(2015年10月10日) No2015-45
〇バングラデシュ、世界最貧国からの脱出へ大きな課題 邦人殺害事件とその背景
〇バングラ邦人殺害でチャイナプラスワンが暗礁に?
〇バングラデシュ邦人殺害、野党活動家と実業家を聴取
〇邦人銃撃 イタリア人殺害と同じグループ犯行か
〇バングラデシュ邦人殺害 親日国 背景見えず
〇殺害の日本人男性 “トラブルなし”で背景を捜査
〇【高論卓説】バングラデシュ邦人銃撃事件 「イスラム国」の脅威、アジアに拡散
〇JICA在外事務所長が途上国の今を語る――注目されるアジア、アフリカの国々
〇3輪EV、大気汚染深刻な「アジア数千万台市場」で発進
〇バングラデシュで合計2GW、米不動産会社グループが太陽光発電所を開発
〇学術交流協定校イスラム大学(バングラデシュ)との合同シンポジウムを実施
〇[拠点][活動報告]ダッカ大学、「共進化社会システムイノベーション施設」を訪問
〇国際医療貢献フォーラム:海外医療支援を考える 11日、AMDAなど /岡山
〇「死の質(QOD)」、1位は英国 エコノミスト誌
〇年16万匹!ネズミ駆除王に農家男性 バングラデシュ

■バングラデシュ、世界最貧国からの脱出へ大きな課題 邦人殺害事件とその背景
 http://ji-sedai.jp/series/research/037.html
 (ジセダイ総研 田中秀喜 2015年10月08日)

 2015年10月3日午前10時頃、バングラデシュ北部ロングプールで現地在住の日本
人・星邦夫さん(66)が何者かに待ち伏せされ、銃で撃たれて亡くなるという痛
ましい事件が発生、大きな波紋を呼んでいる。
 この事件の数日前には、バングラデシュの首都ダッカで、イタリア人男性が同
様に銃殺されている。
 両方の事件とも、ISILのバングラデシュ支部を名乗る組織がインターネット上
で犯行声明をだしており、様々な憶測を生む事態となっている。
 果たして、ISILの犯行と片付けてよいのだろうか。また、今回の事件を政治的
に利用しようという動きバングラデシュ国内で見られる。
 この事件について、現時点で分かっていることについて情報を整理するととも
に、その背景を探りたい。

星さん殺害事件のあらまし
 現地の情報によると、星さんはロングプールに半年ほど前から住んでいたとい
う。
 バングラデシュへ来たきっかけは、日本に在住していたバングラデシュ人ザカ
リア・バラ氏と知り合いになったことだという。星さんは、そのザカリア家にホ
ームステイする形で滞在していた。家の近所に2エーカーほどの農地を借り、ト
ウモロコシを栽培していたという。
 生前の星さんは、日々農作業をする傍ら、地域の子供たちに片言のベンガル語
で語りかけたり、日本語を教えたりしていた。また、近くのモスクに青年たちと
一緒にお祈りに行く姿も見られ、地域に溶け込めるように務めていたことが伺わ
れる。地域の人達には、JICAのプロジェクトで農業指導にきていると誤認されて
いたようでもある。
 ベンガル語紙『プロトム・アロ』によると、事件の日、星さんはいつものよう
に自身の畑へリキシャ(自転車型の三輪タクシー)に乗って向かっていた。そこに、
覆面をかぶった男2名が行く手をふさぐ形で現れ、銃弾を浴びせた。もう一人の
男がその近くにバイクに乗って待機していて、3人ともバイクに乗って現場から
逃走した。
 現在、警察によって現在身柄を拘束されているのは4人。
 ホストファミリーだったザカリア、リキシャタクシーの運転手、殺人現場近く
の家の人、ザカリアの親戚で星さんの仕事の手伝いをしていたヒラという男であ
る。
 この他、ザカリアにはあと2人兄弟がいて、いずれも日本に出稼ぎに行ってい
たことがあり、その2人は日本にいるという話である。
 この事件の犯人について、現在のところ、以下の3つの可能性があると考えら
れる。

1)ISIL
2)政権の転覆を目論む国内の反政府勢力
3)ただの個人的怨恨

イタリア人銃殺事件との相違点
 両方の事件とも、待ち伏せして銃撃、バイクで逃走するという手口は共通して
いる。
 一方で、 イタリア人殺害事件はダッカ市内のグルシャン地区、もっとも外国人
が居留する地域で起きた。犯人はそのイタリア人を狙ったのではなく、たまたま
通りかかった外国人を殺害、逃走したということもありうる。
 これに対し、今回の事件は農村地帯での出来事である。外国人などめったにい
ない。
 被害者は待ち伏せを受けていた。犯人グループの中に土地勘のある人間がいな
い限り、実行に及ぶのはほぼ不可能と言っていい。犯人は被害者を狙っていて、
彼がどこに住んでいて、毎日いつどこに行っていたか知っていた。
 もう一つ重要なポイントは、バングラデシュの農村は大家族制で、地域の人間
全てが顔見知りであるということだ。
 ある外国人をターゲットにするために、よそから来た人間が情報を集めようと
していたら、その人間が不審者としてすぐに浮かび上がってくるだろう。
 よって、犯人は地元の人間か、地元の人間による情報提供をうけられる環境に
ある必要がある。
 つまり、この両事件の実行犯は同一の人間でない可能性が高いのだ。
 また、使用された銃器についても考慮が必要だろう。イタリア人男性殺害事件
は、英字新聞デイリースターによると32口径の銃弾だった。日本人殺害事件の銃
弾と一致するかどうか、そこも確認が必要である。

ISILの犯行声明
 イタリア人、日本人と連続で起きた銃殺事件に対し、過激派組織ISILが犯行声
明を出している。この点についても検証ておきたい。
 ISILは両事件に対し、インターネット上で犯行声明を出している。
 これに対し、バングラデシュのシェイクハシナ首相は10月4日に行われた記者会
見で、「イスラーム国の分子はバングラデシュ国内にいない」とする一方で、国
内の野党グループの犯行を示唆する声明を発表した。
 しかし、これには疑問がある。バングラデシュ国内にISILの活動分子が存在す
る可能性は十分にある。
 過去にYouTubeに掲載されていたISIL戦闘員の勧誘ビデオの中で、リクルーター
が「バングラデシュからの参加者がいる」と明言していたのだ。
 一方、バングラデシュ国内でISILの勧誘員が逮捕される事件は過去、今年5月末
と、この事件が起きてから(10月3日The Daily star)で発生している。
 http://www.thedailystar.net/city/islamic-state-member%E2%80%99-held-dh
aka-90277
 http://www.thedailystar.net/country/4-held-over-link%E2%80%99-mymensin
gh-151273

 現時点で実際に犯行を起こしたのか、事件に乗じて声明を出したのかは不明で
あるが、ISILに影響を受けた活動分子が行動を起こした可能性はありえる。

事件の政局利用を図る現政権
 先述したように、シェイクハシナ首相は国内の反政府野党グループの犯行の可
能性を示唆している。
 野党グループの中でもとくに、ジャマティイスラムはイスラム主義政党であり、
過去においてパキスタンからの分離独立の際には独立に反対し、現政権党と対立
していた過去がある。
 その当時の政治活動に対し、現政権は今頃になって戦争犯罪人裁判という形で
ジャマティイスラム主要幹部を軒並み逮捕、処刑している。その意趣返しとして、
彼らの中の急進的一派が動いた可能性はあるのだ。
 とくに、北部貧困地域はイスラム教を深く信仰する人たちも多く、ジャマティ
イスラムの選挙基盤ともなっている。ロングプールもその地域に含まれる。だが、
通常のイスラム教徒は来訪者をもてなすのが徳目とされている。
 あまつさえ、強烈な親日感情をもつバングラデシュ人が、わざわざ外国人の中
でも日本人を狙うという点が理解できない。
 ゆえに、今回の星さん殺害事件については、ただの個人的トラブルの可能性も
捨てきれない。出稼ぎベンガル人に連れてこられた日本人が、金銭面でもめるの
は、とてもよくある話だ。
 この点については、拘束されているザカリア氏およびその他の兄弟の供述を待
つ必要があるだろう。

蔓延しつつある銃犯罪と銃器の地下流通
 今回の星さん殺害事件、そしてそれに先立つイタリア人殺害事件については、
もうひとつ論点がある。それは、銃を使った事件、という事件の性質についてだ。

 過去、バングラデシュ国内において外国人が銃殺された事件は、2012年に起き
たサウジアラビア大使館員が最初で、これで3件目である。
 もともとバングラデシュでは、犯罪に銃が使われるケースはごくすくなかった。

 しかし、在バングラデシュ日本大使館の発表する犯罪マップによると、近年、
強盗目的や政治がらみの抗争で拳銃が使われるケースが一般化してきていること
がわかる。

 http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/safety/aprcrimemap.pdf

 バングラデシュにおいては警察の許可ないかぎり、拳銃その他の武器の所有は
できないことになっている。しかし、マフィアが拳銃その他の武器を地下マーケ
ットに流通させているという話は枚挙にいとまがない。
 マフィアは政治家と結託し、警察その他の治安維持組織にお目こぼしの便宜を
計ってもらう代わりに賄賂を収める。政治家はマフィアからの政治資金を受け取
ることができるという仕組みだ。
 この仕組みについては、以前ナラヨンゴンジ殺人事件でとりあげたことがある。

 http://kinbricksnow.com/archives/51899559.html

 政治家は末端になればなるほど、金に汚く、思想はない。
 マフィアは金になる相手であれば誰にでも武器を売るだろう。
 マフィアが流通させている武器が、今回の犯罪グループに利用されている可能
性は充分考えられるだろう。

事件を政局化する与党
 いままでバングラデシュは、流布しているイメージに相反して、外国人居住者
にとって夜一人で出歩いても安全な国だった。今回の2件の事件により、それは
大きく覆されることになった。
 バングラデシュ政府には、早急な事実の解明、犯人の逮捕が求められている。

 しかし、首相の発言は、星さんの事件を政局絡みで捉え、野党追い落としのた
めに利用しようとする意図が透けて見える。
 ゆえに、逮捕者が出たとしてもそれが冤罪であるということもありえる。また、
銃絡みの犯罪が蔓延しつつあることは、そもそも現政権に責任がある。
 犯罪組織や地下マーケットの摘発、治安維持組織の綱紀粛正などを行い、外国
人はもちろんのこと一般国民に対する安全の提供を行えなければ、経済活動は大
きく萎縮するだろう。
 ひいては、せっかく離陸しかけた世界最貧国から中等国への経済発展が失敗す
る可能性もありうる。
 事件を本当の意味で解決することができるのか、銃犯罪を押さえ込むことがで
きるのか……被害者と同じ日本人であるからというだけでなく、国際社会の一員
として、バングラデシュの現政権を注視していく必要があるだろう。

■バングラ邦人殺害でチャイナプラスワンが暗礁に?
 http://diamond.jp/articles/-/79711
 (ダイヤモンド・オンライン? 姫田小夏  2015年10月9日)

 10月3日、バングラデシュ北西部、首都ダッカから約300キロのロングプール県
で日本人が射殺されたというニュースが飛び込んできた。寝耳に水の事件である。

「この親日国で、まさか日本人が殺されるとは」――。バングラデシュ在住の日
本人も日本在住のバングラデシュ人も、この悲報に衝撃を受けた。
 その後、インターネット上に、過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行を認め
る声明を出したことから、この事件はバングラデシュとISの関連を強く印象づけ
るものとなった。

日本企業の進出も 増え始めた矢先の惨事

 バングラデシュといえばイスラム国家だが、近年は外からの原理主義組織の活
動を表面化させない「穏健で安定したイスラム教国」として評価される一面も持
っていた。
 こうした要素に加え、若年労働者の層の厚さ、比類ない親日ぶりから、近年は
チャイナプラスワンの新拠点として、バングラデシュを候補地に入れる日本企業
も増え始めていた。
 昨年9月には安倍首相が訪問し、今後4~5年で円借款を中心とする6000億円の支
援を表明して以降、日バの経済関係には追い風も吹き始めていた。
 だが、今回の「ISによる日本人射殺事件」は、こうした評価に修正を与え、外
資投資を冷え込ませてしまう可能性がある。
 すでに外務省の海外安全情報は、バングラデシュへの渡航について、不要不急
のケースはとり止めるよう呼びかける「レベル2」に引き上げた。イスラム過激派
組織によるテロの世界各地での発生を受け、「バングラデシュも日本人がテロを
含む事件に巻き込まれる危険性がある国」だという認識に切り替わったのだ。
 欧米の各国政府もバングラデシュ渡航に対し、危険情報を引き上げている。
 国際協力機構(JICA)は、1973年のボランティア派遣に始まり、日本は二国間
援助の実施機関として、長年にわたりバングラデシュの経済と社会の発展を支援
してきたが、「これにより新たな脅威が加わってしまった」(バングラデシュを
担当するJICA南アジア部)と無念さを覗かせる。
 国際社会はバングラデシュがいよいよテイクオフに差し掛かったと認識してお
り、軌道に乗せるためのさらなる国内の安定が求められていた矢先のことであっ
た。

実際はISの犯行ではなく現政権打倒を狙う野党説も

 一方、シェイク・ハシナ首相は「ISのような組織は同国で活動していない」と
し、これを認めない姿勢だ。確かに近年は、当局の摘発でバングラデシュは比較
的落ち着いた治安を保っていた。
 現地報道は、バングラデシュ民族主義者党(BNP)と現ハシナ政権アワミ連盟と
の二大政党の対立に根差すものとして、ISの関与を否定する論調が強い。今夏、
同国最高裁が独立戦争中の虐殺等の罪で、BNPの幹部サラウッディン・カデル・チョ
ードリーに対して死刑判決を言い渡したことが発端だと解釈されているのだ。
 もともと、BNP幹部を構成する常任委員会メンバーは10人、しかし現政権により
これまで8人が死刑に処せられてきた。そのたびごとに、BNPは「誰かを殺害する」
という形で報復活動を繰り返してきたが、近年はBNPのこうした犯行への社会の関
心も薄れつつあった。そこで世界の関心を引くために外国人の殺害に出た、とい
うのだ。
 日バ両国を頻繁に往復するコンサルティング会社経営者は、次のように語る。

「BNPは犠牲者を出すことで国内を混乱に陥れ、現政権に打撃を与えようとした。
今回は、最後に残された幹部に出された死刑判決ということで、騒ぎを大きくし
たかったようだ。地元バングラデシュ人を狙っても注目度が低いと覚ったBNPは、
『世界も注目するISが外国人を殺害する』というシナリオに注目した可能性があ
ります」
 この事件は二大政党の鍔迫り合いから波及したもので、ISの勢力拡大と関連し
たものでも、日本人をターゲットにしたものでもないという。
 地元民の中には、「バングラデシュはインド軍によりISなど過激派組織から守
られている」という意識を持つ者もいる。ハシナ政権はイスラム過激派を抑え込
むため、バングラデシュ軍とインド軍との緊密な連携を打ち出しているのだ。
 しかし、最近、インドネシアやマレーシアなどの日本の在外公館を狙うようIS
が指示したことからも、日本側は神経を尖らせている。バングラデシュの国境警
備が十分でない可能性を挙げ「ISの潜伏は否定できない」(経済産業省のアジア
専門家)と疑念を深める声もある。

動き始めたバングラ経済に事件は「待った」をかけるか

 他方、ハシナ政権下では、積極的に外資投資を誘致し産業を多角化させるとい
う政策のもと、近年では6%の経済成長を維持している。
 世界銀行は今夏、国民ひとりあたりの年収をもとに、各国を4グループに分類し
たリストを発表したが、それによれば、バングラデシュは低所得国から脱却し、
中所得国となった。
 この国では与野党の深刻な政治対立で、ことあるごとに繰り返されたゼネスト
(ベンガル語でハルタル)が経済成長の足を引っ張ったが、近年ではこのハルタ
ルも効力を失うようになった。それを証拠に、道路封鎖をし四輪車の走行を厳し
く禁止するハルタル下でも、ここ最近は堂々と行き交う車が増えるようになった。

 選挙後、安定期に入ったハシナ政権下では景気も上向き、外資投資も積極さを
増しているようだ。日本からは、チャイナプラスワンが進行し、現地企業数は20
09年の82社から2015年は223社と、ほぼ3倍に増えた。日本大使館に届け出のある
在留邦人も1000人を超えた。
 日本貿易振興機構(JETRO)が行った「在アジア・オセアニア日系企業活動実態
調査」(2014年度)からは、「今後1~2年でバングラデシュの事業を拡大する」
と回答した進出日系企業の割合は、4年連続で約70%以上にのぼった。
 安倍政権による6000億円の支援を受け、目下、ベンガル湾産業成長地帯構想が
動き出している。首都ダッカとチッタゴンのマタバリ間を中心に産業集積を図り、
東・東南アジアと南アジアを結ぶバリューチェーンのハブを目指そうという構想
だ。
 果たして今回の事件は、日本企業の対バ進出に「待った」をかけるものとなる
のだろうか。チャイナプラスワンとして日本企業の製造拠点整備も動き出してい
ただけに、今後が案じられる。

日本人への信頼が厚い世界でも有数の親日国 

 さて、今回の事件は日本のみならず、バングラデシュでも大きな波紋を呼んだ。

 ダッカ在住のバングラデシュ人も「日本人がこのバングラデシュで殺害される
とは、私も信じられない」と驚きを隠さない。世界でも有数の親日国で起きた日
本人殺害事件に、誰もが「なぜ」と問わずにはいられなかった。
 バングラデシュが親日国といわれる所以は、1971年のバングラデシュ独立を先
進国として真っ先に承認したのが日本であること、経済協力では最大援助国のひ
とつとして支援を続けてきたことなどが挙げられるが、それだけではない。この
国の人々が共通して抱いているのが「日本人は信用できる」という思いだ。
 バングラデシュには海外青年協力隊やNGO、その他組織を通して、「この国のた
めに」と打ち込む日本人が少なくない。泥だらけになることを厭わず、地元の人
々と共に汗をかく、バングラデシュでは「そんなことができるのは日本人だけだ」
という評判をよく聞く。
 不幸にも命を失った日本人の星邦男さんも、乞われて牧草栽培の指導に当たっ
ていたという。日本人の愚直な働きぶりは、バングラデシュ国民に強い信頼感を
与えてきたが、星さんもこうした日本人のひとりだったのではないだろうか。
 もはや最貧国ではないバングラデシュは、2021年の中進国入りを目指すまでに
成長した。今後アジアのホットスポットとして発展するのか、はたまた過激派組
織に活動を許しそれに蝕まれるのか。
 後者のような悲劇を回避するためにも、私たちはバングラデシュ経済への関心
を捨てずに維持していきたいものである。

■バングラデシュ邦人殺害、野党活動家と実業家を聴取
 http://www.afpbb.com/articles/-/3062419
 (AFP通信 2015年10月07日)

【10月7日 AFP】バングラデシュで農業関係のプロジェクトに携わっていた日本人
男性が射殺された事件で、現地裁判所は6日、事件直後に身柄を拘束されたバング
ラデシュ人の野党活動家と実業家の2人について、事情聴取のための10日間の勾留
延長を認めた。
 事件では先週3日、バングラデシュ北部の街ランプル(Rangpur)カウニア(Ka
unia)で、星邦男(Hoshi Kunio)さん(66)が三輪自転車タクシー「リキシャ」
に乗っていたところを、バイクに乗った3人組に銃撃され死亡した。担当捜査官に
よると、警察は現在勾留中の2人を事件発生の数時間後に拘束した。これまでのと
ころ、2人は容疑者とはされていない。
 勾留されている人物のうち一人は野党・バングラデシュ民族主義党(Banglade
sh Nationalist Party、BNP)の学生部門の元リーダーで現党員の人物だと、同党
は発表している。
 バングラデシュのシェイク・ハシナ(Sheikh Hasina)首相は、BNPとその同盟
勢力であるイスラム主義政党「イスラム協会(Jamaat-e-Islami、JI)」が外国人
に対する攻撃を扇動していると非難しているが、両政党はこれを否定している。

 また警察や現地報道によると、勾留されている2人目の人物は、親族が星野さん
に農地を貸していたことで、星野さんと親しくなった男性だという。
 事件では、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」が犯行声
明を出している。同国ではこの数日前にも援助機関に所属するイタリア人男性が
殺害され、同じくISが犯行声明を出しているが、専門家らはこれら声明の信ぴょ
う性に懐疑的な見方を示している。

■邦人銃撃 イタリア人殺害と同じグループ犯行か
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151007/k10010261621000.html
 (NHK 2015年10月7日)

バングラデシュで日本人の男性が銃で撃たれて死亡した事件で、地元の捜査当局
は、事件の5日前にイタリア人が殺害された事件と犯行の手口が似ていることか
ら、同じグループによる犯行の可能性があるとみて捜査しています。
バングラデシュ北部のロングプールで今月3日、現地で農業関係のプロジェクト
に携わっていた岩手県出身の星邦男さん(66)が、銃で撃たれて死亡しました。

地元の警察などによりますと、目撃証言や遺体の状況などから、星さんを撃った
男2人は、路上で星さんを至近距離から銃撃し、近くにいたもう1人の男とオー
トバイで走り去ったということです。
この事件の5日前に首都ダッカで起きた、51歳のイタリア人男性が殺害された
事件でも、2人の男が路上で至近距離から男性を拳銃のようなもので撃って、近
くで待っていた男とオートバイで逃げています。
捜査当局は、2つの事件の犯行の手口が似ていることから、同じグループによる
犯行の可能性があるとみて捜査しています。
2つの事件を巡っては、過激派組織IS=イスラミックステートの支部を名乗る
組織が犯行を認める声明を出していますが、バングラデシュ政府は国内でISの
存在は確認されていないとしています。

市民「日本は友好国 許せない」
バングラデシュは国民のおよそ9割がイスラム教徒で、親日的としても知られて
います。
今回の事件について、モスクでの礼拝を終えた人たちは「日本はバングラデシュ
の友好国で、今回の事件は許せない」とか「政府には早く犯人を逮捕してほしい」
などと話していました。
また、ISを名乗る声明については「国民のほとんどは平和的で、過激な思想は
なく、ISは支持しない」という声も聞かれました。

各国大使に事件の対応を説明
バングラデシュ政府は6日、首都ダッカにある外務省の施設に日本や欧米など各
国の大使などを集めて、内相や外相などが事件を受けた政府の対応について説明
しました。
このあと、バングラデシュのマフムド・アリ外相は記者団に、犯人の逮捕に自信
を示したうえで、「バングラデシュ国民を支援してくれている外国人を守るため、
最大限の対策を取っている」と述べ、外国人の安全確保に全力を尽くす考えを強
調しました。
一方、イギリスのギブソン大使は「テロは世界的な脅威であり、バングラデシュ
とともに対処していく」と述べて、国際社会が協力してテロと向き合っていく必
要があるという考えを示しました。

■バングラデシュ邦人殺害 親日国 背景見えず
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201510/CK2015100602000122.html
 (東京新聞 2015年10月6日)

 【バンコク=伊東誠】日本人男性殺害事件が三日に起きたバングラデシュでは、
治安当局がイスラム過激派の撲滅に力を注いできたが、過激派は依然として残っ
ている。事件では、過激派組織「イスラム国」(IS)の支部組織を名乗る団体
からインターネット上で犯行声明が出されたが、真偽は不明だ。政府は政権に反
発する野党勢力との関連を指摘するものの、背景はまだ見えてこない。
 バングラデシュは人口一億五千九百万人のうち九割がイスラム教徒。親日国で
あり、日本人を狙った殺人事件は皆無だった。岩手県出身の星邦男さん(66)
が殺害された北部ランプールは治安がいい地域とされる。
 今回と同様の犯行声明は、九月二十八日に首都ダッカで援助関係のイタリア人
男性が銃殺された事件の直後にも出されている。AFP通信によると、ハシナ首
相は「ISの活動は確認されていない。関与は確認できていない」と述べ、星さ
ん殺害がISによる犯行との見方を否定した。
 首相はさらに、両事件は同一犯との見方を示した上で、最大野党バングラデシュ
民族主義党とイスラム主義野党イスラム協会が関与した可能性を指摘した。
 ハシナ政権と民族主義党との対立は長期化し、政権運営に抗議するストライキ
が頻発している。独立時の戦争犯罪を裁く特別法廷は政権主導で進められ、イス
ラム協会や民族主義党の幹部らに対する死刑判決は強い反発を招いた。反政権勢
力が、外資導入を積極的に進める政権のイメージダウンを狙った-。地元メディ
アに対し、政権はこんな見方を示唆する。
 ただ、イスラム過激派による犯行との見方も残る。バングラデシュでは二〇〇
〇年代、イスラム過激派「ジャマトゥル・ムジャヒディン」が、武力闘争による
イスラム法支配を主張し、爆弾テロを相次いで実行した。治安当局は厳しく摘発
し、テロと認定される事件は影を潜めたが、過激派自体は残っている可能性が高
い。
 今年二~五月には、イスラム教を批判するブロガー三人が首都ダッカなどで刺
殺される事件が相次いだ。AFP通信によると、いずれも首謀者らはイスラム原
理主義組織のメンバーだった。

■殺害の日本人男性 “トラブルなし”で背景を捜査
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151008/k10010262701000.html
 (NHK 2015年10月8日)

今月3日、バングラデシュで日本人の男性が銃で撃たれて死亡した事件で、男性
はトラブルを抱えていた可能性が低く、警察は事件の背景について捜査を急いで
います。
バングラデシュ北部のロングプールで今月3日、現地で農業関係のプロジェクト
に関わっていた岩手県出身の星邦男さん(66)が銃で撃たれて死亡しました。

地元の警察などによりますと、星さんを銃撃したのは覆面をした2人の男で、至
近距離から銃撃したあと、近くにいたもう1人の男とオートバイで走り去ってい
て、計画的な犯行とみられています。
一方、農業プロジェクトの関係者の親戚の男性によりますと、星さんは地元で住
民に知られ、仕事や生活でトラブルなどを抱えている様子はなかったということ
で、「優しい人で、テロでもないかぎり殺される理由はありません」と話してい
ました。
また、地元では複数の住民が星さんがモスクを訪れて礼拝をする姿を目撃してい
て、地元の生活に溶け込んでいたと証言しています。
警察は、星さんがなぜ狙われたのか、犯行の目的や背景について捜査を急ぐとと
もに、銃撃した男たちの行方を追っています。
今回の事件では、過激派組織IS=イスラミックステートの支部を名乗る組織が、
犯行を認める声明を出していますが、バングラデシュ政府は国内でISの存在は
確認されていないとしています。

■【高論卓説】バングラデシュ邦人銃撃事件 「イスラム国」の脅威、アジアに拡散
 http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/151008/cpd1510080500004-n1.htm
 (SankeiBiz 2015年10月8日)

 バングラデシュ警察は今月3日、首都ダッカ北西約300キロにあるラングプ
ールのマヒガニ村で、今年8月に同国入りし農業関係の活動を行っていた日本人
が、バイクに乗った男たちから3発の銃弾を浴び、死亡したと発表した。「リキ
シャ」と呼ばれる現地の自転車タクシーで移動中だったという。
 イスラム過激派の動向を追っているサイト・インテリジェンス・グループによ
れば、同事件では「イスラム国(IS)のバングラデシュ支部」を名乗る組織が
犯行声明を出している。犯行声明の信憑(しんぴょう)性は不明だが「(イラク、
シリアなどのイスラム諸国に対する)十字軍を形成する米欧などの連合国の国民
に対する一連の治安作戦は依然続いている」と述べていた。
 この事件の5日前の9月28日には、ダッカでオランダのNGO(非政府組織)
の職員として働いていたイタリア人がやはり3発の銃弾を浴び、死亡する事件が
起きている。ダッカのアメリカンスクールのプールでの水泳後、ジョギングで自
宅に戻る途中だったという。犯人は3人組で、銃撃後、同じようにオートバイで
逃走した。
 サイト・インテリジェンス・グループによれば、この事件後にも「バングラデ
シュのイスラム帝国」と名乗る組織が「われわれは十字軍の外国人を追っている」
との趣旨の犯行声明を出している。
 実はイタリア人の銃撃事件の発生するわずか1時間前には、英政府が同国民に
対してバングラデシュで西側諸国の人々の集まる場所に行くのを制限するよう警
告していた。事件後、クリケット・チームのバングラデシュ遠征を中止したオー
ストラリア外務省の高官も今月1日、同国のバングラデシュにおける権益に脅威
が迫っているとの諜報があると発言し注意を促している。さらに米国政府も同国
公務員に対して、許可なく多くの人がいるところに出かけることや、徒歩・オー
トバイ・自転車・リキシャなど遮蔽手段のない乗り物での外出を禁じている。
 周知のように9月25日には、マレーシア警察が、首都クアラルンプールの観
光スポットのアロー通りでのテロを計画していた疑いがあるとしてマレーシア人、
インドネシア人、シリア人の3人の男を前日に逮捕したと発表したばかりであっ
た。そのマレーシアでも米国大使館が祝日だった同24日、アロー通りや周辺に
出かけるのを回避するよう注意喚起を出しているし、日本大使館も翌25日、在
留邦人にメールを送り安全確保を要請している。
 ISは9月9日、イラクやシリアの支配地域に来て戦えない支持者に対して、
米国主導の対IS軍事作戦に加わっている国を「十字軍」と位置付け、日本を含
む60以上の国や機関などを列挙した上で攻撃するよう呼び掛けた。その際、攻
撃対象として、インドネシア、マレーシア及びボスニア・ヘルツェゴビナの日本
の在外公館が名指しされていたことは記憶に新しい。
 イスラム過激派の動向を監視するインテルセンター(米国)が発表した、3月
31日の時点でISに忠誠を誓ったり、支持したりしている組織の一覧表を見る
と、前者にはインドネシア、パキスタン、フィリピンなど7つのアジアのイスラ
ム組織が、また後者にもフィリピン、パキスタンなど5つのイスラム組織が掲載
されている。ISテロは中東に限らないことを改めて認識しておく必要があろう。

■JICA在外事務所長が途上国の今を語る――注目されるアジア、アフリカの国々
 http://www.jica.go.jp/topics/news/2015/20151007_02.html
 (JICA 2015年10月7日)

JICAは9月10日、民間企業を対象としたセミナー「JICA事務所長による途上国現場
レポート」をJICA本部(東京都千代田区)で開催した。開発途上国への進出を検
討している民間企業への支援を通じて、途上国の開発を支援する民間連携は、JI
CAにとって重要な事業の一つとなっている。

セミナーには南アジア(インド、スリランカ、バングラデシュ)、東南アジア(
インドネシア、カンボジア、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ラオス)
、アフリカ地域(ウガンダ、ガーナ、ケニア、セネガル、タンザニア、ブルキナ
ファソ、ルワンダ)の17ヵ国の事務所長が出席し、現場から見えてきた途上国の
今を伝えた。

バングラデシュでは日本企業の進出は6年で3倍に
今回のセミナーで、民間企業の関心が特に高かった国の一つがバングラデシュ。
バングラデシュは日本の約4割の国土に約1億6,000万人が暮らす人口大国で、今年、
世界銀行の所得分類(注1)で貧困国から低所得国に移行したばかり。GDPは10年
以上にわたって平均6パーセントの実質成長を続け、外貨準備高は輸入6ヵ月分ま
で増加するなど、マクロ経済は非常に安定している。一方で国内投資率は対GDP比
30パーセント未満にとどまっており、投資の拡大によりさらなる成長の余地があ
る。

投資環境としては、今後40年にわたる人口ボーナス期に入ったところで、豊富な
労働力による生産拠点および一大消費市場としてのポテンシャルを有している。
日本企業のバングラデシュ進出は過去6年で約3倍に増えており、今後の事業展開
を視野に入れている日本企業も多い。しかし、海外直接投資は対GDP比1パーセン
トと低く、投資を呼び込むためのハード・ソフト両面での環境整備が課題となっ
ている。

こうした中、日本は昨年5月と9月に開催された日バ首脳会談で、今後4~5年で円
借款を主とする6,000億円の経済協力を表明。「ベンガル湾産業成長地帯構想(T
he Bay of Bengal Industrial Growth Belt: BIG-B)」(注2)の実現に向けたイ
ンフラ、制度整備、人材育成への協力を約束した。バングラデシュ事務所の廿枝
(はたえだ)幹雄所長は「さまざまなツールを活用して日本の技術の高さをアピ
ールしながら、案件の形成から調達、実施に至るあらゆる段階で日本の技術の活
用を促進したい」と語り、日本企業の積極的な参加を呼びかけた。

※続きはリンク先をご確認ください。

■3輪EV、大気汚染深刻な「アジア数千万台市場」で発進
 http://www.nikkei.com/article/DGXMZO91215720R00C15A9000000/
 (日本経済新聞 2015年10月08日)

 2輪でも4輪でもない。3輪の電気自動車(EV)が疾走し始めた。フィリピンやイ
ンドネシアといった東南アジアや、インドやバングラデシュを中心とする南アジ
アには、数千万台規模の3輪車市場がある。こうした巨大市場を狙って、日本のベ
ンチャー企業が攻勢を掛けている。現地のニーズや各社の動向を追った。
 ラオス北部に位置する古都ルアンパバーン。1995年に国連教育科学文化機関(
UNESCO)によって世界遺産に登録されて以降、世界中から訪れる旅行者を魅了し
続けている。
 朝5時半。外はまだ薄暗く、街を静寂が包む。そこへ、オレンジ色の大行列が歩
いてきた。僧侶が信者の家々を巡り食糧などを乞う「托鉢(たくはつ)」だ。僧
侶が長蛇の列をなすルアンパバーンの托鉢は、世界最大級の規模と言われる。
 「バババババ」――。突然、静寂を切り裂く音が響いた。3輪タクシーの「トゥ
クトゥク」だ。托鉢を見ようと飛んできた観光客が、神聖な雰囲気を台無しにし
てしまった。托鉢は僧侶の修行にとってはもちろんのこと、ラオスの観光資源と
しても重要な文化である。騒音と排ガスをまき散らすトゥクトゥクを問題視する
声が高まっていた。
 そこで白羽の矢が立ったのが、3輪の電気自動車(EV)。ラオス政府は、3輪EV
なら騒音や大気汚染を防ぎ、街の静寂を守れると判断した。現在、ラオス国公共
事業運輸省が中心になって、ルアンパバーンにおいて3輪EVを定期路線で運行させ
る準備を進めている。
 日本のプロッツァが開発した3輪EVを14台、国際協力機構(JICA)を通じて納入
した(図1)。2015年9月1日に本格稼働を始めた。
 一方、バングラデシュでは札束が飛び交っていた(図2)。ここは、同国有数の
バイクメーカーRunner group of companiesの販売店。われ先にと現金を握りしめ
て押し寄せる人々の視線の先にあったのも、3輪EVだった。

数千万台の3輪タクシー市場

 東南アジアや南アジアを中心に、今、3輪EVへの期待が一段と高まっている(図
3)。背景にあるのは、ガソリン車による深刻な大気汚染だ。世界保健機関(WHO)
によると、東南アジアと太平洋地域では年間50万人以上が大気汚染を原因として
死亡しているという。1億台にも及ぶ、2ストロークエンジン(2スト)車が要因と
される。
 2スト車の中でも、特に問題視されているのが、トゥクトゥク(タイやラオス)
や「トライシクル」(フィリピン)、「オートリクシャー」(インド)などと呼
ばれる3輪タクシー。市民や観光客の重要な足となっている一方で、風当たりは強
くなるばかりだ。2スト車の排ガスは騒音や悪臭の原因となり、3輪タクシーを利
用する人々に不快感を与える。
 3輪車は、2輪車よりも乗車定員が多く、荷物もたくさん積める。4輪車よりも小
型で取り回しが良い。東南アジアや南アジアなどでは狭い道が多く、全幅が狭く
最小回転半径の小さい3輪車が活躍している。
 3輪タクシーは現在、フィリピンの350万台を筆頭に、東南アジアで1000万台以
上が街を走っている。インドにも1000万台超があるとされ、東南アジア・南アジ
ア全体では数千万台の3輪タクシー市場が存在する。
 そこを今、EV化しようと、ベンチャー企業を中心に様々な国や地域で取り組み
が始まった。3輪車の長所を残しつつ、EV化することで欠点を長所に変える。

国家プロジェクトは暗礁に

 いち早く動いたのはフィリピンだった。2012年12月、同国政府が350万台走って
いる3輪タクシーのうち、2017年までに10万台をEV化すると発表した(図4)。ア
ジア開発銀行(ADB)が総額3億ドル(1ドル=123円換算で約369億円)をフィリピ
ンのエネルギー省(DOE)に融資し、地方自治体のLGU(Local Government Unit)
が事業者を募る仕組みだ。
 だが、このプロジェクトが「遅々として進んでいない」(ある関係者)。入札
は何度か実施されたが、落札者が決まらないのだ。同プロジェクトの入札に参加
していたEVベンチャーのテラモーターズも「2014年に撤退した」(同社事業開発
部の後平佐保子氏)という。遅れの主因は、プロジェクト関係者による環境整備
が不十分なこととされる。
 もう一つ、ADBが規定した車両の仕様にも問題がある。最高速度60km/hで登坂
能力は16度、蓄電池は容量3kWhのリチウムイオン電池と要求仕様は非常に高い。
しかも、予定価格が5000~6000ドル(61万5000~73万8000円)であることが、公
然の情報として流出した。厳しい仕様を盛り込みながら予定価格内に収めるのは
至難の業で、車両メーカーが同プロジェクトから離れつつある。

電池交換式で走り続ける

 だが、3輪EVへの取り組み自体にブレーキはかかっていない。車両メーカー各社
は、ADB案件を離れ、独自に車両開発と市場開拓を始めた。
 ラオスでの3輪EVタクシーの車両に採用されたプロッツァは、フィリピンのセブ
島に生産工場を構えている(図5)。同社で3輪EV事業を担当する寺西亮氏(広報
課・営業企画課・業務課課長)は、「適材適所が大事。3輪の良さ、EVの良さが出
るように車両を開発した」と話す。
 車両メーカーから見た3輪車の良さは、4輪に比べて敷居が低いこと。車両に関
してはシートベルトやドア、窓ガラスなども要らない。4輪車では必須の、衝突安
全試験も不要で、開発や製造に掛かるコストを抑えやすい。
 利用者(タクシー運転手)にとっては、「EVだと騒音や振動、排気ガスの臭い
がないため、観光地などでの満足度は非常に高い」(寺西氏)という。満足度が
高ければ、タクシー客を捕まえやすい。
 ここで浮上するのが、「航続距離の短さ」と「充電時間の長さ」というEVの欠
点だ。充電に数時間取られると、タクシー運転手にとっては死活問題となる。
 プロッツァは3輪EVタクシー用の車両「Pecolo」に、電池交換式を採用した。容
量約2.9kWhのリチウムイオン電池を搭載し、1回の充電で40km前後走れる。電池残
量が少なくなったら最寄りの電池交換施設に行って充電済みの電池カートリッジ
に交換する。
 その所要時間は数分。EV普及の障害となる急速充電ステーションなどのインフ
ラの設置は不要で、ステーションでの充電待ち時間も要らない。急速充電をしな
くていいので電池の劣化も少ない。
 モーターは豊田自動織機製で、フォークリフト用の品種を転用した。「市場で
流通していて信頼性は高く、開発コストも抑えられる」(同氏)ことから採用し
た。シャシーやボディーなどはセブ島の工場で製造する。車両価格は今のところ
100万円前後で、別途電池交換施設の費用が掛かる。今後、フィリピンを中心にラ
オスやバングラデシュなどに市場を広げ、量産効果で車両価格を下げていく考え
である。

インドのARAI認証を取得

 テラモーターズがバングラデシュ向けに開発した「Y6」。7人乗り。鉛蓄電池を
搭載し、1回の充電で90~100km走行できる
 バングラデシュで販売を開始したのがテラモーターズだ(図6)。バングラデシュ
では「2015年中に3万台を販売できそうだ」(同社)と鼻息は荒い。リチウムイオ
ン電池より安価な鉛蓄電池を採用することで、価格を「20万円程度」(同社広報)
に抑えたという。
 同社はインドでも2015年7月末に3輪EVを発売し、こちらは年間1万台の販売を目
指す。インドで性能テストや承認を担当するのがインド自動車調査協会(ARAI)。
その承認を、3輪EVとしては日本企業で初めて取得した。
 インドは29の州と七つの連邦直轄地域に分かれており、車両を販売する際には
それぞれの地域で許可が必要になる。テラモーターズは、「7月上旬の時点で、五
つの州で販売許可の認定を取得済み」(後平氏)。他の州にも申請中で、許可が
下り次第、販売地域を拡大する計画である。
 南アジア市場を中心に攻めるテラモーターズの3輪EVは、販売する国によって外
観デザインや一部仕様を変更して展開している。例えば、インドでは「現地のタ
イヤメーカーと共同で、耐久性の高いタイヤを開発した」(同氏)。ほとんどの
部品は、中国とインドの部品メーカーから調達する。

※詳細はリンク先をご確認ください。

■バングラデシュで合計2GW、米不動産会社グループが太陽光発電所を開発
 http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/100600620/?rt=nocnt
 (日経テクノロジー 2015年10月6日)

 米国の太陽光発電開発事業者であるSkyPower社は10月1日、バングラデシュにお
いて、合計出力2GWの太陽光発電所を開発すると発表した。
 米ニューヨークで開催中の第70回 国連総会の期間中に、バングラデシュのシェ
イク・ハシナ首相と共同で発表した。SkyPower社は、今後5年間で総額43億米ドル
を投じる。
 SkyPower社は、このメガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設計画以外に、
今後5年間に、バングラデシュの家庭に「住宅用太陽光発電キット(Home solar
kits)」を150万セット贈呈する。
 同キットは、太陽光パネルのほか、蓄電池、LED照明、換気扇、ラジオ、USB方
式による携帯電話機用充電器で構成されている。
 SkyPower社による太陽光発電所の開発によって、バングラデシュ国内で年間合
計4万2000人分以上の雇用が生まれるとしている。同社による投資には、出力500
MW分の設備の製造・組立工場も含む。
 SkyPower社は、米国の不動産会社であるCIMグループが主要株主の企業である。
世界中で合計出力25GW以上の太陽光発電所の開発実績があるとしている。最近で
は、エジプト、ナイジェリア、ケニア、ジブチ、インドなど、アジアやアフリカ
各国政府との協定に基づきメガソーラーを開発している。

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