バングラデシュのニュース(2013/05/06) その2

■ワタミ、ソーシャルビジネス支援 ノーベル平和賞ユヌス氏らと連携
 http://www.sankeibiz.jp/business/news/130424/bsg1304240502008-n1.htm
 (産経新聞 2013年04月26日)

外食、介護事業などを展開する「ワタミ」は、バングラデシュ出身でノーベル平和賞受
賞者のムハマド・ユヌス氏らと連携し、ソーシャルビジネスに投資する「一般社団法人
ソーシャルビジネス・ドリームパートナーズ」(以下、ドリームパートナーズ)を3月
に設立した。ユヌス氏が提唱するソーシャルビジネスの概念を実践する事業家を支援・
育成していく。

 ドリームパートナーズは、ワタミの渡邉美樹会長、桑原豊社長、中川直洋執行役員、
「さわかみ投信」の澤上篤人会長、「レオス・キャピタルワークス」の藤野英人最高投
資責任者、「九州大学ユヌス&椎木ソーシャル・ビジネス研究センター」の岡野昌治教
授が理事に就任。運営資金として、ワタミが1億円を出資し、基金とする。

 年間に3件投資

 ユヌス氏は、貧困削減を目的にマイクロファイナンス(小口融資)などを手がける「
グラミン銀行」をバングラデシュに設立。2006年にノーベル平和賞を受賞した。

 ユヌス氏はソーシャルビジネスの7原則として、(1)経営目的は利潤の最大化では
なく、貧困、教育、健康などの分野で人と社会を脅かす問題を解決すること(2)財務
的・経済的に持続可能であること(3)投資家は投資額のみを回収、元本を超える配当
は行われない(4)投資分を超えた利益は内部留保し、会社の拡大や改善に利用(5)
環境に配慮(6)従業員に市場賃金と標準以上の労働条件を提供(7)楽しみながら取
り組むこと-を挙げている。

 ドリームパートナーズは、この7原則にのっとった事業を展開するビジネスを選び、
投資をする。

 理事の中川氏によると、ドリームパートナーズはすでにカンボジアでのデザイナー育
成とオリジナル製品販売に取り組む「ドリーム・ガールズ・プロジェクト」への出資を
検討しているほか、毎年3件程度の投資をしていきたい、という。

 中川氏はドリームパートナーズ設立のねらいについて、「寄付ではなく、投資により、
ソーシャルビジネスの成功例を創出し、社会問題を解決する手段としてのビジネスを定
着させたい。また、ソーシャルビジネスに取り組もうとする若者を支援・育成したい」
と話す。さらにこう付け加える。「ワタミ自身が、介護や環境など社会的な課題の解決
を目指す事業を展開している。その経験からも、こうした社会問題解決型ビジネスは今
後一層ニーズが広がり、市場が拡大していくと考えている」

□社会事業家を育成

 ソーシャルビジネスは、まず事業が軌道に乗ることが求められる。赤字の垂れ流しで
は、持続的な社会貢献を実現できないからだ。中川氏も社会貢献と事業の両立を重要視
している。

 「私たちの考えるソーシャルビジネスは利潤の最大化が目的ではないが、ビジネスと
して成立し、持続的な投資を呼び込むことが求められる。したがって、社会のためにな
るだけでなく、消費者のニーズに十分対応し、出資者にとってもメリットが見えなけれ
ばならない。『社会的に良いことをしているのだから』という経営者の甘えを排除し、
社会事業家としてのマネジメント力を育てるのも、私たちの投資の目的だ」

 このため、ドリームパートナーズでは、理事会のほかに投資委員会を設け、金融や投
資の熟練者が投資対象事業選定の審査に加わっている。

 投資第1号案件であるドリーム・ガールズ・プロジェクトは、アジアでデザインなど
の才能がある女性の支援事業を展開する「ブルーミング・ライフ」で代表を務める温井
和佳奈さんらが、11年に立ち上げた。経済成長を遂げるカンボジアだが、人材育成の
スピードが追い付かず、特に女性たちが選べる職域は狭い。温井さんたちは、女性が身
に付ける職業技能としてグラフィックデザインに目をつけ、女性を対象にしたデザイン
コンテストを開催している。コンテストは今年で3回を数え、参加者は延べ700人以
上にのぼる。入賞作品は、手帳、ポーチ、壁時計などに商品化して販売しており、14
年にはプノンペン市内にオリジナルグッズを販売するショップを開設する予定という。

 ワタミがドリームパートナーズを通じて育成を図るソーシャルビジネスがカンボジア
をはじめアジアに広がっていくことに多くの人々から期待が寄せられている。(在カン
ボジア・ジャーナリスト 木村文)

■“チャイナプラスワン”の新たなる選択 バングラデシュのビジネス環境の現状
 http://diamond.jp/articles/-/35316
 (DIAMOND Online 2013年05月01日)

成田からシンガポール経由で12時間半、ミャンマーとの国境沿いに走るアラカン山脈を
越えると、箸と漢字の文化が消え、「1日3食のカレー」と「1日5回の祈祷」というイス
ラム一色の世界が広がる。

「こんな世界で仕事できるのか?」と不安になる日本人を、悪名高い“バングラデシュ
三大名物”の「停電・渋滞・慢性的なゼネスト」が洗礼する。そして赴任当日から始ま
る「指折り数えて帰国を待つ日々」……。日本人駐在員にとって、過酷な闘いの始まり
である。

 だが、誰も行きたがらないバングラデシュだからこそ、そこに埋蔵されている“商機”
というお宝を掘り当てられる可能性もある。

「電力不足ではちょっとムリ」――日本企業にとって常識だ。パナソニックも、電力供
給の不安定さを理由にバングラデシュ進出には消極的だったと聞く。

 物流も問題だ。ダッカから港のあるチッタゴンまでは陸路で5時間以上、そこからシン
ガポール港まで5日間かかる。シンガポールから先はさらに積み替えが必要で、輸出先ま
でトータルでざっくり2週間はかかると言われている。

◆いまだに政治が経済に優先 名物ゼネストで商売はフリーズ

 万事がスローである理由は、政治が足を引っ張るためといえる。

 筆者も現地滞在中、バングラデシュ名物のハルタル(ホルタル)を経験した。日本でい
うゼネラル・ストライキのことで、この国の大きなカントリーリスクだ。当日はすべて
の交通機関がマヒし、企業も店舗も原則として休みになる。もちろん日本企業も影響を
被る。ハルタルが宣言されたその日は経済活動を行うのは御法度、基本的に社員は自宅
待機。「納期に間に合わない!」と悲鳴が上がろうが、諦めるしかない。

 しかも、今年に入ってからのハルタルは、これまでにない様相を呈している。バングラ
デシュ独立時の東西パキスタン対立の構図が遠因の政治抗争とあって、3月だけでも少な
くとも9回は発生している。また、4月に入ってからは、日本人駐在員の利用する社用車
への放火も報告された。中国の反日デモとは異なり、日本企業や日本人がターゲットに
されることはないが、ハルタルの性質上四輪車が狙われやすいため、移動にクルマを使
う日本人駐在員は実質的に「軟禁状態」になってしまう。

「ハルタルさえなければ、この国は一気に栄えるのになあ」とため息をつく駐在員も多
く、まさにバングラデシュは政治でがんじがらめになって、経済が循環しないことを物
語っている。

 折しも筆者はこのハルタルの真っ最中に、バングラデシュ鉄鋼エンジニアリング協会(
Bangladesh Steel and Engineering Corporation 以下、BSEC)を訪問し、アタール・ラ
ーマン会長と面会の機会を持った。

 窓の外ではデモ隊がさかんにシュプレヒコールを挙げている。このハルタルをどう受け
止めるか、の問いにラーマン会長はこうコメントした。

「民主主義における権利表現の一つの形だが、他にも表現方法はあるはず。これはひと
えに政府のガバナンス(統治)の問題です。日本は政治より経済を優先させて経済発展
しました。政治活動の一端であるハルタルの頻発は、バングラデシュはいまだ政治が経
済に優先していることを意味しているのです」

 他方、バングラデシュの泣き所は、重化学工業が弱いことにある。何しろこの国には鉄
がないのだ。「鉄は国家なり」とはビスマルクの名言だが、この国の足腰の弱さは「鉄
がない」ことにも現れる。

 これも政治の不安定さが原因だ。ラーマン会長は「過去10年、私は重化学工業が必要だ
と唱えてきましたが、国の産業政策はコンシューマー・インダストリーを重視し、製鉄
など重化学工業は顧みられませんでした」と失望の色を見せた。

 バングラデシュの国内産業の発展は、緒に就いたばかりだ。縫製産業が伸びているとは
いえ、布や縫製資材の大半は輸入に頼っている。政府は国内産業育成と輸出振興の旗印
のもと、輸入代替型や輸出志向型の産業を奨励しているが、その発展の歩みは遅い。

 3月、この地を埼玉県の中小の金型企業が視察に訪れた。経営者は言う。「ほとんどの
部材を輸入に頼らなければならない。しかも、聞いたところでは、通関するのに1ヵ月近
くかかるとも。関税、納期という点で進出は難しい」

 驚いたことに、ダッカではエリートビジネスマンでさえ「金型(mold)」という言葉す
ら知らなかった。工業への道のりは、まだまだ遠い先のことなのだろうか。

◆水面下で動く日本企業 インフラの問題はどう解決

 これだけ書くと「バングラデシュ、やっぱり駄目じゃないか…」ということになる。こ
のコラムを執筆中の4月24日、ダッカ近郊で縫製工場などが入る8階建てのビルが崩壊す
る事故が起こった。手抜き工事がまかり通っているならば、進出する日本企業にとって
は対岸の火事では済まされない。

 だが、水面下ではしたたかに、バングラデシュに打って出る企業が現れ始めている。

 高級婦人衣料の縫製を行う小島衣料(本社:岐阜県)もそのひとつだ。同社は2010年に
ダッカに工場を開設したが、こうしたカントリーリスクを意に介す様子もない。オーナ
ーの小島正憲さんは言う。

「物流に時間がかかるならそれでもいい、1日で運べなければ1週間かければいい。停電
が問題なら発電機を据えつければいい。バングラデシュには若くて豊富な労働力が、こ
れだけの密度で存在するのです」

 縫製業にとって何よりも重視すべきは「労働力」だ。バングラデシュは月収8000円程度
で肉体労働を担う若者たちが、蟻集するように目の前に存在する。中国ではその4倍の賃
金を出しても働き手は見つからないし、カンボジアでも人口密度の低さから「シャトル
バスでも出してかき集めて来ないことには、生産体制が組めない」(小島さん)ともい
われている。

ちなみに、同社は納期の問題も、中国工場とバングラデシュ工場のコンビネーションで
うまくクリアしている。まさに「チャイナ“プラスワン”」のうまみはここにある。

 物流の整備も着々と進んでいる。日通が目下奮闘しているのが「シンガポール~マレー
シア~バンコク~ヤンゴン~ダッカ~ニューデリー」をトラックで結ぶ陸路輸送の構築
だ。上海=シンガポールの7000kmはすでに陸路で結んでおり、バンコク~ヤンゴン陸路
輸送の開発を現在進めている。南アジア・オセアニア日本通運総務部長の喜志公陽さん
は、「ホーチミン~バンコク、ダッカ~ニューデリーなどの『線』としての陸路輸送は
すでに構築している。今後は、『線』の輸送サービスと当社の拠点倉庫である『点』を
利用しながら、『面』としての物流をサポートしていく計画です」と話す。

 経済活動を阻害するといわれるハルタルも、地元企業はあまり深刻に受け止めていない。
「またやってる」程度の感覚で、いつも通り操業する工場も、実は少なくない。店舗も
「ハルタルでも開店する」ところはいくらでもある。政治を優先すると自分たちの首が
絞まることは、誰もが理解しているのだ。

◆中流層が育ち始め内需も拡大 高級住宅街も点在

 バングラデシュは従来、縫製加工の拠点として注目されたが、ここ2~3年は内需に関心
が高まってきている。日本からは金融、保険、サービス、小売などで動きがあり、NT
T、KDDIは地元のNGOと組んで通信事業に乗り出し、また味の素やロート製薬、
ニプロ(医療機器)は小売市場を狙って展開している。また富士写真フイルムは化粧品
「アスタリフト」の高級ショールームをオープンした。

 前出のBSECは、実はホンダが同国で進める二輪車の生産・販売の合弁会社設立における
パートナーを傘下企業に持つ。もともとホンダはこのアトラスバングラデシュ・リミテ
ッド社に委託生産を行っていたが、ホンダが70%、BSECが30%の出資比率で、このほど
新たに新工場設立にこぎつけた。

 バングラデシュの二輪車市場は、総人口約1億6000万人に対して2012年で19万台。タイ
の年間販売台数200万台超と比べれば10分の1以下の規模にとどまるが、だからこそ「そ
こに市場の伸びが期待できる」(同社広報)。バングラデシュ国内では部品調達に限界
があるため、当面は半加工製品を送り込み、現地で組み立てるノックダウン方式を採用
する。

さて、課題山積みのバングラデシュだが、“沸騰都市バングラ”という表現は決して嘘
ではない。現在、アッパーミドルと言われる層は月収5~10万タカ(1タカ=約1円)を手
にしており、また、ロワーミドルと言われる層も高い購入意欲を持っている。

 ダッカ市内には高級住宅街が点在するようになり、中には5億タカ、6億円タカをつける
住宅も出現するようになった。トヨタ車の輸入車に乗り、高級レストランで外食する人
々も多い。市内にはシンガポールのラッキープラザを想起させるようなショッピングセ
ンターもある。

 富裕といわれる人々には、自宅をカナダのトロントに置き、ダッカ市内にマンションを
複数所有して行き来する官僚もいれば、中東やシンガポール、日本などの出稼ぎで財を
成し帰ってきた人々もいる。

 とはいえ、中国をイメージしてダッカでこれら富裕層向けにいきなり高価な商品を持っ
てきたとしても、決してヒットはしない。いわゆる富裕層と言われる人々は「いいもの
は海外で求める」傾向にあるためだ。

 中間層が厚みを持ち始めるのはさらにまだ先。とはいえ、それを先取りするかのように
各国の資本が首都ダッカで動き始めている。一般商品ではリップスティックやパウダー、
クリームといった基礎化粧品に注目が集まっており、ユニリーバやポンズなどが大々的
な広告を掲げている。“カラコン”(若者に人気のカラーコンタクトレンズ)などの需
要も一部で出始めているようだが、そもそも保守的な観念の強い社会の中で、まだ女性
の圧倒的多数にはジーンズ姿すらまばらだ。

 他方、注目すべきは、この国では男性が身繕いにかなり気を遣うということだ。男性の
洗顔フォーム、クシなども人気が高まっているという。現地のコンサルタントは「まず
は安く販売してそのよさを訴求し、徐々に値段を上げて売る方法が歓迎される」と語る。
ちなみに、これはイギリスの紅茶の売り方でもあった。

◆一筋縄ではいかない国 カギを握るのは現地パートナー

 さて、この国は政治的な不安定さが経済成長を抑制するともいわれ、また、外資による
投資もアンダーテーブルでの駆け引きが要求されと、日本企業にとってはなかなか一筋
縄では行かない国である。

 だが、制度が確立されていないこの混沌が意味するのは、人脈で決着がつく可能性が非
常に高いことを意味する。「いいパートナーさえ見つければ」とは、筆者が出会った多
くの日本人ビジネスマンが異口同音に述べたキーワードだった。

 日本からの進出企業は2013年4月現在、155社にとどまっている。ダッカ日本人会によれ
ば、正式に同会に登録している日本人は510人、未登録の長期・短期出張者は500名ほど
存在すると想定され、合計約1000人の日本人がビジネス目的でダッカに滞在していると
考えられる。

「中国の日系企業およそ2万社」とはケタ違いだが、ここには小所帯ならではの「助け
合い」もある。官と民の距離の近さや、日本の出先機関も「親身になって相談に乗って
くれる」という意味では、いい評判を聞く。それもまたバングラデシュならではのメリ
ットだといえる。

 そして大きな違いは、この国には“反日感情”がないということだ。むしろ、バングラ
デシュは世界で最も親日な国ともいわれる。100タカ札には日本のODA援助で完成した
橋梁「ジャムナブリッジ」が印刷されているように、日本人、日本企業は諸手を挙げて
歓迎なのだ。

 1970年代、日本からバングラデシュの独立運動を支えた中心人物のひとり、東京外国語
大学の奈良毅名誉教授は次のように伝える。

「日本はバングラデシュ人民共和国を国家として最初に承認した先進国、また、バング
ラデシュは1994年、南アジア諸国の中で、日本の国連安保理常任理事国入りに初めて支
持を表明した国でした。経済協力の面でも、日本はバングラデシュに対する最大援助国
の1つでもあり、バングラデシュ人の親日感情は実はインドより何倍も強い」

 日本から視察に訪れたビジネスマンは、その親日ぶりを土産話に持ち帰る。ハルタルの
デモ行進も「日本に対する反日感情ではないので、街中でも恐怖感が少なかった」とい
った後日談も聞かれる。

 また、イスラム原理主義が跋扈し、不穏な動きを見せる昨今のイスラム社会において、
バングラデシュが、穏健かつ安定したイスラム教国として体制を維持できるかどうかは、
むしろ日本との強い連携にかかっているともいえるのだ。

◆魔法の一言 「日本から来た」

 筆者は、このバングラデシュを中国と重ね合わせてみた。90年代、中国にはまだ“竹の
カーテン”が存在し、現地事情がほとんど伝わってこなかったあの頃、「行けば騙され
るのではないか?」と圧倒的多数の日本企業は懐疑的だった。

 ところが、そんな言葉には耳を貸さず、自分の嗅覚と人脈で突き進んだフットワークの
軽い自営業者や中小企業経営者も多かった。中国ビジネスの黎明期、模範とするケース
スタディも進出ノウハウも蓄積されていなかった時代、「相手の国がほしがるモノやサ
ービスを提供」して、しこたま儲けたのは彼らだった。

 逆に言えば、2000年代後半、ましてや2010年代に入ってからは、中国市場は単なる「草
刈り場」と化し、いざ進出したときには残念ながらもう「草はすでに刈り取られていた」
という状態にも等しかった。

 マスコミが騒ぎ始めてからでは「時すでに遅し」だ。“誰も近寄らない山”だからこそ、
見つかる“宝”がそこにはある。

 最大の宝とは「バングラデシュは世界でも一番の親日国家」だということだ。「日本か
ら来た」という一言は“魔法の力”にも匹敵する効力すらある。日本経済は今後どれだ
けの国とタッグを組み、日本の良さや日本のブランドを浸透させることができるのだろ
うか。中国偏重の経済関係から、多元的な関係の在り方、そんな「チャイナプラスワン」
が求められている。

 日本の企業戦士たちは安近短のグローバル展開から、「さらに遠くへ」と駒を進めてい
る。確かにバングラデシュでは、我々の想像もできないビジネスの流儀や独特な価値観
に直面する。だが、筆者が注目するのはむしろ「共感」することの方が多いという点だ。
バングラデシュ人パートナーとどうタッグを組むのか。次回以降、それを現地からのレ
ポートでお伝えしたい。

■日本発・宇宙インフラ事業をアジアに、14兆円市場にらみ産学官が連携
 http://www.nikkei.com/article/DGXBZO54573850R00C13A5000000/
 (日本経済新聞 2013年05月06日)

人工衛星からの観測などによって得られる膨大な空間・地理データを活用した「宇宙イ
ンフラ」をアジア諸国に輸出する一大プロジェクトが始動する。東京大など3大学によ
るコンソーシアムがこのほど発足、宇宙航空研究開発機構(JAXA)やNTTデータ
などとも連携して、産学官で宇宙データをアジアにおける資源開発や災害対策、交通網
整備などに生かしていく。同時に国内の航空・宇宙関連企業との共同研究にも取り組み、
日本発の宇宙インフラを広げていく。欧米や中国が積極的に宇宙インフラの海外展開に
動いており、日本も総力をあげて参戦する。

 「日本は観測や測位、通信など宇宙インフラに関する個別の要素技術のレベルは高い
が、それを横断的にシステムとして構築していく人材が育っていない」――。東大、東
京海洋大、慶応義塾大の3大学は4月末に「宇宙・地理空間技術による革新的ソーシャ
ルサービス・コンソーシアム(GESTISS)」を設立。旗振り役の一人で、コンソ
ーシアム代表者の東大の柴崎亮介教授は、日本の宇宙技術の世界輸出に意欲を見せる。

 具体的にはまず、全地球測位システム(GPS)を使い、人や建物の位置を高精度で
把握・解析できるソフトウエアの開発を進める。設計図に当たるソースコードを公開す
る「オープンソース」方式を採用して、大学や企業、研究機関のノウハウを持ち寄るこ
とで、世界最先端のソフトを短期間で実用化する。これをベースに、フィリピン、ベト
ナム、バングラデシュ、インドネシアなどのアジア諸国で、共同研究や調査にも取り組
む。

さらに、開発する最先端ソフトを教材として、国際教育プログラム「G―SPASE」
も展開する。コンソーシアムを構成する各大学在籍生のほか、バングラデシュ、インド
など海外の提携大学の学生らが対象。宇宙工学や衛星測位技術、衛星工学やシステムデ
ザインといった座学のほか、JAXAや情報通信研究機構(NICT)、NTTデータ、
NEC、日立製作所などの連携企業のプロジェクトに参加する機会を設ける。タイのア
ジア工科大学、米マサチューセッツ工科大学、バングラデシュ工科大学とも交流を進め
る。

 宇宙を飛んでいる人工衛星から時々刻々と得られるデータは、様々なインフラ事業に
活用することができる。

 例えば、携帯電話や測位衛星のデータを使って災害危険地域の住民に警報を効率的に
届けるシステムや、携帯電話のログを解析し、人々の分布や移動状況を把握して災害対
応を支援するシステムの開発などがある。一部はすでに取り組みが始まっており、国際
教育プログラムを通じ、宇宙インフラ活用に関する基礎知識やフィールドワークを経験
した30人程度の修了生を毎年、送り出す計画だ。

 コンソーシアムの運営を担当する東大の柴崎教授は、「携帯電話が普及し、地上の情
報通信ネットワークが爆発的に拡大している。衛星情報を地上インフラと統合すれば、
防災だけでなく、資源開発や陸上・水上での交通管理、疫病対策など幅広い分野で革新
的なサービスが構築できる」と語る。新たなコンソーシアムの目標について、「個別の
技術に特化した専門家だけの断片的な議論にとどまらず、横断的、総合的に社会の基盤
となるシステムを構築できる人材を急いで育成したい」という。

 慶大の神武直彦准教授は「欧州諸国がタイなどアジアに衛星システムを積極的に売り
込んでいるほか、中国も宇宙システムの研究開発を加速させている」と指摘。日本発の
宇宙技術として、欧米中の衛星にも対応できるシステムの構築を目指すという。

 コンソーシアムは、衛星観測や地理情報システム(GIS)、宇宙工学分野で強みを
持つ東大の空間情報科学研究センター、衛星測位を研究する東京海洋大の海事システム
工学科、システムデザインや国際プロジェクトマネジメントのプログラムを持つ慶大の
システムデザイン・マネジメント研究科の担当教員が運営する。

 内閣府によれば、衛星やロケット製造や、地理情報システムなどの宇宙利用サービス
含めた日本の宇宙産業の市場規模は約9兆円。現在はほぼ9割を国内の官需に頼ってい
る。東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国では、防災や交通インフラシステムの需要
が伸びるなど、世界の宇宙関連市場は年14%で拡大している。政府は、アジア諸国などの
外需を産学官で連携して取り込み、2020年度に日本の宇宙産業を14兆円に引き上げる目
標を掲げている。研究や技術開発の成果をシステムとしてまとめ上げる人材の育成を急
ぎ、防災や交通・森林管理など日本版の社会基盤システムをアジア諸国に使ってもらう
ことができる体制を整える。

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