バングラデシュのニュース(2013/07/21) その1

瀬戸内国際芸術祭2013が始まりました。
バングラデシュから100人のアーティストが日本に来ます。
開会式にはJOCVメンバーも参加したのかな?

バングラデシュで一般的な乗り物のリキシャをペーパークラフトにしてみました。
組立だけなら切り抜いて30分もあればできる想定です。
こちらのサイトからダウンロード出来ます。
左側メニューから「ペーパークラフト・リキシャ」を選択して下さい。
http://kanaben.s3.zmx.jp/

みなさんもリキシャ・アーティストになれるかもしれません。
印刷は厚紙で、のり付け位置があるため両面印刷が必要です。

■見出し(2013年07月21日) No2013-40
〇ダッカの市場、高松に 瀬戸内芸術祭 バングラ人ら再現
〇瀬戸内国際芸術祭2013 「バングラデシュ・プロジェクト」について
〇瀬戸内国際芸術祭 高松港 バングラデシュ・ファクトリー
〇瀬戸内国際芸術祭 高松港 バングラデシュ絵画の精髄
〇バングラデシュの文化相が知事表敬/瀬戸芸
〇ふるさとへの便り バングラデシュ 教育の問題点改善へ  
〇ユヌスの答えは「Do it! Do it! Go ahead!」
〇野党指導者に死刑で混乱懸念
〇世界動かした「現代の野麦峠」 西田令一 
〇BOPビジネス展示関連セミナー「ペダルをこいでバングラデシュに飲み水を!」
〇イスラム政党元指導者に戦争犯罪で禁錮90年、バングラデシュ
〇イスラム指導者に禁錮90年=支持者の反発必至-バングラ
〇2. ITPEC試験問題選定会議の開催
〇こどもにつたえるフェアトレード 2013 
〇バングラデシュのGSP受益国資格を停止(USTR)
〇GSPのアジア各国への適用で日米EUに差異-新・新興国への進出とGSPの活用(1)
〇GSPの「卒業」規定に留意が必要-新・新興国への進出とGSPの活用(2)
〇原産地規則は国と制度によって異なる-新・新興国への進出とGSPの活用(3)

■ダッカの市場、高松に 瀬戸内芸術祭 バングラ人ら再現
 http://www.asahi.com/culture/update/0718/OSK201307180071.html
 (朝日新聞 2013年7月18日)

【柳谷政人】20日に夏会期が始まる瀬戸内国際芸術祭に、バングラデシュが参加する。
工芸職人やダンサーら約100人が来日し、首都ダッカのエネルギッシュな市場を高松
港に再現。ものづくりを「アート」として見せる試みだ。

特集「瀬戸内国際芸術祭2013」
17日、第1陣として22人の職人が高松市に到着。弦楽器を作るモハンマド・シャリ
フル・イスラムさん(29)は「日本は海や山の風景が素晴らしい」と笑顔を見せた。

バングラデシュの過去5年の平均経済成長率は6%超。パキスタンからの独立(197
1年)を日本が他国に先駆けて承認したことに感謝する国民が多く、親日国でもある。
1981年からアジア最古の国際芸術展を始めるなど、国は芸術文化を重視している。

芸術祭総合ディレクターの北川フラムさん(66)は昨年、旧知の駐バングラデシュ日
本大使の誘いでバングラデシュを訪問。市場で思い思いに楽器をならし、踊る人々の熱
気に圧倒された。「消費社会化した現代の日本が忘れた『ものづくり』の現場や喜びを
芸術祭で見せたい」。政府に職人らの派遣を依頼した。
高松港の特設会場を架空の島「ベンガル島」と名付け、特産のジュート(黄麻)や弦楽
器、織物、装飾焼き物などの工房を並べる。小物や伝統菓子などは販売。自転車でひく
人力車「リキシャ」やバスのペインティングもある。併設のステージでは伝統舞踊や歌、
詩の朗読を披露し、芸術祭を開く瀬戸内の島々への出張演奏も企画する。
北川さんは「世界一楽しく、豊かで刺激的な市場になる。特に子どもに楽しんでほしい」
と話す。
高松市美術館では「バングラデシュ絵画の精髄」と題して絵画33点を展示し、芸術家
も来日する。一連のバングラデシュ・プロジェクトは9月1日の夏会期閉幕まで。

■瀬戸内国際芸術祭2013 「バングラデシュ・プロジェクト」について
 http://www.pref.kagawa.lg.jp/kgwpub/pub/cms/detail.php?id=18066
 (香川県 2013年07月17日)

1. バングラデシュ・プロジェクトについて
次の3つのプログラムによって構成されます。 

(1) 「バングラデシュ絵画の精髄」
会期:7月20日(土曜日)~9月1日(日曜日)
会場:高松市美術館・市民ギャラリー(高松市紺屋町10-4)
時間:9時30分~19時(入室18時30分まで) ※日曜日・8月10日(土曜日)は17時まで(入室
16時30分まで)
料金:300円(芸術祭パスポート提示で無料) ※8月3日(土曜日)美術館の日は無料
内容:バングラデシュの画家たちによる絵画展。伝統的な絵画から現代の作品、固有の土
地や文化に根ざした作品などによるベストセレクションです。

○「バングラデシュ絵画の精髄」オープニング・セレモニー
日時:平成25年7月20日(土曜日)9時30分~10時30分
会場:高松市美術館1階エントランスホール(高松市紺屋町10-4)
内容:挨拶、テープカット
出席者:
<日本>
香川県知事 浜田 恵造
高松市長 大西 秀人
香川県議会議長 水本 勝規
<バングラデシュ>
財務大臣 アブル・マール・アブドゥル・ムヒト
文化大臣 アブール・カラム・アザド
駐日バングラデシュ大使館 特命全権大使 マスード・ビン・モメン
アーティスト カイユム・チョウドリー
アーティスト ムスタファ・モンワール

(2) バングラデシュ・ファクトリー
会期:7月20日(土曜日)~9月1日(日曜日)
会場:高松港サンポート地区・アート広場(高松市サンポート7)
時間:11時~19時30分
内容:バングラデシュの職人たちが、織物、焼き物、楽器などを制作します。リキシャ、
バナー、バスのペインティングも行います。また、バングラデシュのパフォーマーたち
が伝統舞踊、部族ダンス、歌、楽器演奏などのパフォーマンスを披露します。高松港に、
バングラデシュの活気溢れる市場のような光景が現出します。

(3) シンポジウム・パフォーマンスショー
日時:平成25年7月21日(日曜日)15時~17時(開場14時30分)
会場:福武ハウス体育館(小豆島 福田地区)
料金:1,000円(芸術祭パスポート提示で500円)
内容:
<第1部>シンポジウム「バングラデシュアートの現在」
 挨拶 ゴーホル・リズヴィー(国際問題首相顧問)
 プレゼンテーション
 「バングラデシュの絵画」アブル・モンスール(チッタゴン大学美術学院教授)
 「バングラデシュの手業」シャウォン・アコンド(ジョルロン・チーフ・キュレーター)
 「バングラデシュの歌舞音曲」ラメンドゥ・マジュムデール
  (国際シアター・インスティチュート会長)
 ディスカッション
  佐渡島志郎(在バングラデシュ日本国大使)、アブル・モンスール、
  シャウォン・アコンラメンドゥ・マジュムデール
 コーディネーター:北川フラム(瀬戸内国際芸術祭総合ディレクター)
 <第2部>パフォーマンス・ショー
  1 バングラデシュ伝統舞踊、2 南アジアの代表的楽器による合奏、
  3 フォーク・ソング

お申込み:
   http://setouchi-artfest.jp/eventよりお申込み下さい。

2. 参加人数について
本プロジェクトに参加するために、次のとおりバングラデシュからアーティスト、パフ
ォーマー、職人など約100名が来県し、一部を除いて綾川町のオイスカ四国研修センター
に滞在します。
 
○アーティスト13名、コーディネーター2名
「バングラデシュ絵画の精髄」の作品を制作した画家12名、バングラデシュ・ファクト
リーにてベンガル・タイガーを描く画家1名及びそのコーディネーター2名です。

○パフォーマー48名、コーディネーター4名
 4グループに分かれて入れ替わり来県し、「バングラデシュ・ファクトリー」や「シン
ポジウム・パフォーマンスショー」において、伝統舞踊、部族ダンス、歌、楽器演奏な
どのパフォーマンスを披露します。

○職人38名、コーディネーター4名
 「バングラデシュ・ファクトリー」にて、織物、焼き物、楽器などを制作します。

記者発表資料 [PDF] [76kb]
 http://www.pref.kagawa.lg.jp/kgwpub/pub/cms/upfiles/Press%20Release_18066_1.pdf

■瀬戸内国際芸術祭 高松港 バングラデシュ・ファクトリー
 http://setouchi-artfest.jp/artwork/a150-8
 (瀬戸内国際芸術祭 夏)

国民総活気量世界一といわれるバングラデシュ。首都ダッカの市場は、食物や工芸製品
の部品、ジュートや竹を材料とした道具、楽器、船の工房、唄や踊り、楽団が混在する
世界一、楽しく、豊かで、刺激的な場所だ。彼らは毎夕暮れ時、高松港に集まり、ダッ
カの市場のようなエネルギー溢れる風景が現れる。また、伝統舞踊やCharja Dance、Mo
nipuri Dance、Chakma部族ダンスといった踊りのチーム、バシやエクタラ、ドタラ、ド
ールなどのバングラデシュ楽器の演奏者たち、民謡やタゴール、詩人ナズルルを歌うシ
ンガーたちが総勢50人程度来日する。踊り、演奏、歌をバランスよく編成し、10日
間づつ4つのグループに分かれて来日するので、異なる演目を楽しむことができる。

主催=バングラデシュ・プロジェクト実行委員会、バングラデシュ政府作業委員会 | 共
催=瀬戸内国際芸術祭実行委員会、在日バングラデシュ大使館 | 後援=在バングラデシュ
日本国大使館
協力=ことでんバス株式会社

■瀬戸内国際芸術祭 高松港 バングラデシュ絵画の精髄
 http://setouchi-artfest.jp/artwork/a151
 (瀬戸内国際芸術祭 夏)

バングラデシュの画家たちによる展覧会。伝統的な絵画から現代の作品、固有の土地や
文化に根ざした作品などによるベストセレクションだ。参加アーティストも来日し、両
国間の交流を深め、私たちに多くの刺激を与えてくれるに違いない。
会場=高松市美術館 | TEL:087-823-1711

7/20(土)-9/1(日)の期間開催
会場=高松市美術館市民ギャラリー
主催=バングラデシュ・プロジェクト実行委員会
共催=瀬戸内国際芸術祭実行委員会、在日バングラデシュ大使館、ベンガル・ファンデー
ション
後援=在バングラデシュ日本大使館

■バングラデシュの文化相が知事表敬/瀬戸芸
 http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/locality/20130720000141
 (四国新聞社 2013年07月20日)

 「瀬戸内国際芸術祭2013」夏会期で「バングラデシュ・プロジェクト」が開かれ
ることを受けて、バングラデシュのアブール・カラム・アザド文化大臣らが19日、県
庁に浜田知事を訪ね、「このプロジェクトは自国の文化の『ショーケース』となるだろ
う」などと語った。
 同プロジェクトでは、9月1日までサンポート高松で焼き物や織物などの職人ら約1
00人が制作を実演したり、伝統舞踊などのパフォーマンスを披露したりする。芸術祭
期間中、高松市美術館では絵画展が開かれるほか、21日には小豆島町の福武ハウス(
旧福田小学校)でシンポジウムも行われる。
 アザド大臣は「自国の文化や歴史を紹介する機会を得られて感謝している」と述べ、
知事は「国内外から訪れる人に素晴らしいアートなどを通じ、バングラデシュに対する
理解を深めてもらいたい」と応えた。
 この日は佐渡島志郎在バングラデシュ特命全権大使も知事を訪問した。

■ふるさとへの便り バングラデシュ 教育の問題点改善へ  
 http://www.gifu-np.co.jp/tokusyu/2011/furusato_letter/fl20130719.shtml
 (岐阜新聞 2013年07月19日)

現在、バングラデシュの南西部ジョショール(JESSORE)で、小学校の教員資格
を取る教員養成校(PTI=Primary teacher’s Training
 Institute)で活動しています。
バングラデシュは、インドの東に位置しますが、実際はインドにぐるりと周りを囲まれ、
ほんの少しだけミャンマーと国境を接する日本よりはるかに小さな国です。しかしなが
ら、人口は1億6千万人ともいわれ、世界一の人口密度だと言われています。
バングラデシュは、昔の海津市がそうであったように、多くの川が網の目のように流れ、
雨季は洪水が起こりやすく、あちこち水浸しのようになってしまう地形です。それでも、
人々は力強く、エネルギッシュに生活しています。
こちらの人たちは、日本のことをそれはそれは親しみをもってくれ、「ボンドゥ(=友
達)」とさえ言ってくれるほど親日です。
今年は協力隊がバングラデシュで活動を始めて40周年の記念の年です。各地で協力隊
のさまざまな活動を知ってもらうイベントも行っているところです。
ところで、バングラデシュの教育の問題点はというと、たくさんありますが、大きな課
題として挙げられるのが、教員・教室不足のハード面と、教師主導の教科書丸暗記授業
というソフト面の2点です。
旧来の「教科書丸暗記教育」から脱却するために政府も教育に力を入れており、「児童
に考えさせたり、実際にやって見せたりする授業」へと移行するための養成訓練が始ま
ったところです。
私はこの教員養成校で、算数と理科の授業改善のために教材・教具の作成、板書の仕方
などを提案しています。
ほかにも、訓練生の教育実習中は、教育実習校へ行き、授業を見て、良かった点や改善
点などを伝えるようにしています。PTIのインストラクターも、訓練生も、本当にや
ることがたくさんある中、大きな変化の中で努力をしているのに頭が下がります。
未来を担う子どもたちが気持ちよく学習できる環境づくりにも取り組んでいます。

【赤塚 梢さん】
 あかつか こずえ 岐阜県の小学校に勤務。小学校教諭として2012年6月よりバ
ングラデシュの初等教員養成校で算数・理科の授業改善のための活動中。中津川市出身。
34歳。

■ユヌスの答えは「Do it! Do it! Go ahead!」
 『「最高の授業」を、世界の果てまで届けよう』/『ドキュメント 戦争広告代理店』

 http://business.nikkeibp.co.jp/article/book/20130711/250981/?rt=nocnt
 (日経ビジネスオンライン 2013年07月17日)

きっかけは、僕が今の出版社に転職して間もない、夏の日の午後でした。転職の挨拶に
うかがった先の他業種の知人から、こんな話をふられたのです。

「あのさ、ちょっと面白い人を見つけたんだよ。ワセダの現役学生さんなんだけどね。
ほら、『ドラゴン桜』ってマンガ、あるでしょ。落ちこぼれの高校生を鍛えて東大に合
格させるって話。彼、あれをバングラデシュでほんとにやっちゃった。で、向こうの最
難関大学に合格者を出したんだよ」

「あれ。その学生さんって、もしかしてサイショ君って人ですか?ちょうどこないだ、
僕も彼の本を読んだところなんです」

 前の出版社にいたころ、僕は「カーン・アカデミー」に興味を持っていました。カー
ン・アカデミーとは、数学、歴史から金融まで、さまざまな科目のレッスン動画をネッ
トで大量に無料公開している、アメリカの教育NGOです。彼らの映像授業は、いまや月に
600万人が試聴しているとか。

低コストで圧倒的な情報発信力を発揮するのがインターネットの長所。その長所を最大
限に活かせる分野が「教育」だということに、カーン・アカデミーを知って今さらなが
ら気づかされた僕は、このプロジェクトを追いかけていました。前職で創始者のサルマ
ン・カーンさんみずから本を書くと知ったとき、翻訳権を取ろうとしたものの、諸事情
でかなわなかったのです(※)。

(※『世界はひとつの教室』サルマン・カーン著、ダイヤモンド社。本コラムでの紹介
記事はこちらから)

 カーン・アカデミーの本は作れない。でも、こうした活動をやっている人は日本にも
きっといるはずだから、探してみよう。そんな矢先の、冒頭の会話だったわけです。

 なんというセレンディピティ。さっそく、話題の人物、税所篤快(さいしょ・あつよ
し)君に連絡を取りました。

 1週間後。待ち合わせ場所のJR神田駅前「肉の万世」に現れたのは、どこか少年っぽさ
を残した顔つきの、はつらつとした大学生。それが税所君でした。その時の僕は、彼の
奮闘記にここまで惹きこまれていくとは、思ってもいなかったのです――。

<彼女にふられてバングラデシュへ>
 税所君は当時、早稲田大学教育学部の6年生。大学2年の時、失恋をきっかけに、「僕
をふった彼女に認められる男になってやる」とバングラデシュに渡り(若いですね)、
グラミン銀行にインターンとして潜りこみます。そこで、バングラデシュのとある村で
フィールドワークをしている時、こんな話を耳にするのです。

 「この国には、とにかく先生の数が不足している。バングラデシュ全体であと4万人は
必要なんだ。いい教育を受けられないばかりに、優秀な子どもたちが貧困に埋もれてい
くのを見るのはしのびない……」

 それを聞いた税所君の頭をよぎったのが、高校時代に彼が通っていた受験予備校「東
進ハイスクール」のことでした。

 みなさんご存じのとおり、東進ハイスクールでは早くから、ビデオ(DVD)授業という
教育システムを採り入れています。講師たちの授業を映像に収め、その映像をDVDや衛星
放送によって、全国の校舎や家庭に届けるのです。

 「富川さん、僕、受験生だった高校3年の時から、東進のビジネスってすごいと思って
たんですよね。ナマの先生をたくさん雇って全国の校舎で授業をするのではなくて、超
一流の先生を1人雇う。で、その授業をコピーして全校舎に配る。そうすれば、はるかに
低コストで、超一流の先生を何百人も雇っているのと同じことができるんですから」

 日本独自のこの受験予備校のやり方を使えば、バングラデシュの教員不足を解消でき
るんじゃないか?そう彼が気づくのに、時間はかかりませんでした。

 一介の学生インターンにすぎなかった税所君は、このアイデアを、なんとグラミン銀
行総裁のムハマド・ユヌスその人に直訴します。話を聞き終えたユヌス総裁の反応は―

 「Do it! Do it! Go ahead! (面白いじゃないか! ぜひやってみたまえ!)」

 ユヌス総裁のこの一言をきっかけに、紆余曲折をへながらも、「バングラデシュ版“
ドラゴン桜”プロジェクト」がスタートします。

 税所君がターゲットにしたのは、この国の大学受験でした。

 日本と同様、バングラデシュでも、難関大学の受験に臨むには予備校に通うことが事
実上不可欠。ですが、貧しい農村の家庭には、むろんそんな余裕はありません。

 彼はどうしたか?まず、首都ダッカの「ファームゲート」という予備校街(日本でい
うお茶の水ですね)に潜入します。そして英語、国語、数学などの各科目で、バングラ
デシュ予備校界のナンバーワン講師たち(日本でいう安河内哲也先生とかですね)を口
説きおとすことに成功。で、彼らにカメラの前で特別授業を行ってもらい、DVDに収録。
そのDVDをとある田舎村に持っていき、空き家を借りて中古のパソコンを数台設置し、無
料の「予備校」を開講したのです。

 この予備校の生徒は11人。彼らが目指すのは、「東洋のオックスフォード大学」とし
て名高い、最難関のダッカ大学です。そして、なんと初年度からいきなり、このダッカ
大学をはじめとする難関大学に合格者を輩出!この「バングラデシュ版ドラゴン桜」の
成功は日本でもニュースになりました。

 「うーん、すごい話だねえ」
 「富川さん、これは序の口ですよ。ここからが大変だったんです」

<W社から突きつけられた三行半>
 翌年。1年目の実績が評判になった税所君は、日本の大手居酒屋チェーン、W社の会長
から共同事業のオファーを受けます。

「ずっと憧れていた経営者の方から、『僕らと一緒に会社を作らないか?』って直々に
誘われたんですよ。乗らないわけないじゃないですか」

 しかし、ここからが、税所君にとって、試練の始まりだったのです。

 W社と合同で立ち上げた事業は、映像授業による受験予備校をバングラデシュ全土に拡
大し、生徒に課金して本格的にビジネス展開する、というものでした。まず、バングラ
デシュの大手ネット企業との提携に成功。そしてこの企業がかかえる全国各地のネット
カフェを、DVD授業を受けるための「教室」として提供してもらえることになります。そ
の上で、生徒たちから(相場よりはるかに安い)授業料をいただく――という計画。

 ところがこの事業は、さまざまなトラブルをへて派手に頓挫し、ついにW社から三行半
を叩きつけられます。

 そんな失意のどん底から、税所君がいかにして這い上がったか。今や多くの人たちか
らの支援をえて「五大陸“ドラゴン桜”プロジェクト」をかかげる彼が、中東のヨルダ
ン、ガザ地区、アフリカのルワンダなど、世界各地でどんなふうに映像授業を展開し、
どんな成果をあげているか。

 ステーキが冷めるのも忘れて、僕は彼の話に夢中で聴き入っていました。

 さて。恥を忍んで書いてしまうと、僕はいわゆる「社会貢献」とか「途上国支援」と
いったものに、実はほとんど関心がありません。「恵まれない子供たちのキラキラした
笑顔が見たいから」。そう語る活動家に会うたび、はあ、そりゃどうもごリッパですね
え……と、自分の意識の低さに恥じ入るばかり。

 そんな僕が、なぜ、彼の話にここまでひかれたのか。

<イノベーションの本質と、日本の可能性がここにある>
 まず1つめは、税所君のドラゴン桜プロジェクトは、いわゆる「イノベーション」の本
質を体現したものだと直感したからです。先に述べたとおり、映像授業というアイデア
は、税所君のオリジナルではありません。しかし、日本の受験ビジネス界では今やあり
ふれたこの仕組みを、「途上国の教員支援」という、誰も気づかなかった別の文脈に置
きなおしたところに、彼の達見があるわけです。

 そう、イノベーションとは、ゼロから新しいものを作るのではなく、ありふれたもの
から、誰も気づかなかった大きな価値を引き出すこと。そう考えると、この日本には、
税所君が見つけたようなイノベーションのタネがそこらじゅうに眠っているんじゃない
か。考えただけでワクワクしませんか?

 2つめは、映像授業というアイデアの、応用可能性の広さです。バングラデシュで税所
君たちがやっているのは「大学受験支援」ですが、他の地域ではちがうのです。

 たとえば中東のガザ地区。街全体を高い壁で囲われ、中に入るのも危険なこの地区で
は、税所君たちは衛星回線を使って、隣国から映像授業を送り届けました。しかも授業
を受けるのは、生徒ではなく、先生たちです。学習障害を抱える子供たちの対処法がわ
からず困っていた、ガザ地区内の小学校の先生たちに、隣国ヨルダンの専門家がサテラ
イト授業でノウハウを伝授したのです。

 つまり、税所君が築いたのは、現地のさまざまなニーズに合わせて臨機応変にカスタ
マイズできる、プラットフォームだったのです。「映像授業」というシンプルなワンア
イデアの応用法が、無限のようにあることに、僕はすごくしびれました。

 3つめは、彼と同じ24歳のとき、自分は何一つ大したことをしていなかったなあ、とい
う「焦り」でしょうか。やりたいことがわからないまま悶々としていた当時、税所君の
ような破壊力のある人間に出会っていたら、人生が変わっていたかもしれない。あのス
テーキ屋で彼の話に惹きこまれ、本にしたいと思ったのは、そんな当時の自分に読ませ
たいという思いもあったような気がします。

「編集者」というと、とにかく本の虫で、惚れこんだ作家の良書を、会社を説得して採
算度外視でも出す――といったイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか(と
いうか、先日帰省した際、母親が僕の仕事をそう捉えていることを知って愕然としたん
ですが)。それはそれで美しい話です。でも僕の周りにいる、ヒットを連発する編集者
たちを見ていると、彼らはむしろ徹底した戦略家、PRマンであることが多いのです。

 講談社ノンフィクション大賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞したこのノンフィク
ション。舞台は1990年代のボスニア戦争です。主人公はジム・ハーフという男。アメリ
カの大手PR会社、ルーダー・フィン社の凄腕PRマンです。

 ボスニア紛争について、「モスレム人迫害を行ったセルビア共和国に、国際社会の非
難が殺到し、『悪の親玉』ミロシェビッチ大統領が失脚した」というくらいの知識しか
なかった僕は、そうした認識自体が、PR会社によって戦略的に作られたものだというこ
とにひたすら衝撃を受けました。

 PR会社の顧客というと、通常は民間企業です。あるいは、最近では日本でも、国政選
挙におけるPR会社の存在が知られるようになってきました。しかし、ハーフの顧客はボ
スニア・ヘルツェゴビナ共和国政府。国家です。

 本書は、ボスニア紛争の本質は、ボスニア・ヘルツェゴビナ政府とセルビア政府間の
PR戦争であったことを指摘します。その上で、ハーフが繰り出した、あの手この手の世
論操作テクニックを魅力的に描いていきます。

<本も、仕事も、戦争も>
 「自由」や「民主主義」というキーワードでアメリカの世論を味方につけていくプロ
セスなど、どこをとっても面白いのですが、なかでもハーフの仕事の白眉は、あのキャ
ッチコピーの創出でしょう。彼にとって、国際世論の非難を敵国セルビアに向けさせ、
また、同情を顧客側に引き寄せるためには、優れたキャッチコピーが必要だったのです。

 それが「民族浄化(ethnic cleansing)」という造語でした。

 “cleansing(きれいにすること)”は、本来はポジティブな言葉です。そんな言葉を
「民族を除去する」という意味であえて使うことで、ぞっとするようなイメージを人々
に想起させます。とくにナチスを経験した、欧米では大きなインパクトを持つ言葉にな
ったのです。

 ハーフはこう語ります。

 「私たちの仕事は、一言で言えば“メッセージのマーケティング”です。マクドナル
ドはハンバーガーを世界にマーケティングしています。それと同じように私たちはメッ
セージをマーケティングしているんです。ボスニア・ヘルツェゴビナ政府との仕事では、
セルビアのミロシェビッチ大統領がいかに残虐な行為に及んでいるのか、それがマーケ
ティングすべきメッセージでした」

 こうした戦争におけるPR企業の倫理性を問題視する向きも当然あるでしょう。しかし、
本書で描かれているPR戦略はすべて、僕がいる出版ビジネスの世界であれ、税所君がた
ずさわっているような社会貢献活動であれ、どんな分野でも成果を上げている人たちが
必ず身につけているものだと思うのです。

■野党指導者に死刑で混乱懸念
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130717/k10013107521000.html
 (NHK News 7月17日)

300万人以上が死亡したとも言われるバングラデシュ独立戦争での戦争犯罪を裁く特
別法廷で虐殺などの罪に問われた野党のイスラム政党の指導者に死刑が言い渡され、こ
れに反発する支持者らによる抗議行動で混乱が拡大することが懸念されています。

1971年に当時パキスタンの一部だったバングラデシュで、独立を求める勢力とパキ
スタン軍との間で起きた独立戦争では、300万人が死亡したとも言われ、バングラデ
シュ政府は過去を清算するためだとして、3年前、戦争犯罪を裁く特別法廷を設置しま
した。イスラム政党の幹部など10人以上が虐殺に関わったとして起訴されており、こ
のうち野党「イスラム協会」の幹事長アリ・アハサン・モハマド・ムジャヒド被告に1
7日、死刑が言い渡されました。特別法廷では、ことし1月以降、イスラム協会の幹部
に相次いで死刑や終身刑が言い渡されており、イスラム協会側は、ことし末にも行われ
る選挙を前に野党の排除を狙った政治的な裁判だと反発しています。
支持者らはバングラデシュ各地で車に火をつけるなどの抗議行動を続けており、17日
の判決で、混乱が拡大することが懸念されています。

■世界動かした「現代の野麦峠」 西田令一 
 http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/130720/ent13072008490002-n1.htm

 (MSN産経ニュース 2013年07月20日)

 災害や事故の度に夥(おびただ)しい数の人が死ぬ。大きなニュースになる要素であ
る「驚き」はない。態様に際立った特徴でもなければ、紙面の片隅で小さく扱われる。
南アジアの胸痛む現実だった。
 だった、としたのは、バングラデシュの首都ダッカ郊外でこの4月に起きたビル倒壊
事故が欧米でも大々的に報じられ、そんな地域の常識を覆したからだ。
 縫製工場が多く入居する8階建てビルが突然、崩落し、実に1129人もが死亡した。
衣料産業史上最悪の惨事とされる。
 縫製工たちは危険なビルにすし詰め状態でこき使われ、犯罪組織とのかかわりもある
ビル所有者は事故の責任追及を恐れて逃げ出しインド国境で捕まった。
 『あゝ野麦峠』が描く女工哀史より過酷な様相を現代に見せつけられたような衝撃性、
意外性が事故そのものにあった。加えて、欧米の衣料、小売業が倒壊ビルの工場をはじ
め、バングラデシュを委託縫製の一大拠点にしていたという背景の特異性である。
 同国は中国の5分の1の賃金で中国並みの生産性を上げ、今や中国に次ぐ世界第2の
衣料品輸出国である。流行のデザインを短期に製品化して廉売する欧米のファストファ
ッションや小売りにとり、人件費高騰中の中国に代わる格好の委託生産先となった。
 ファストファッションでは世界最大手スウェーデンのH&M、米国のGAP、スペイ
ンのZARAなど、小売りでは米最大手のウォルマート・ストアーズなどが、発注元に
名を連ねている。
 米国ではこれらの企業に対し、年金基金などの機関投資家、米労働総同盟産別会議(
AFL・CIO)、キリスト教団体が一斉に要求を突き付けた。人道的な労働条件、労
働者の基本的人権、労組の結成といった、現地の労働環境の改善を求めたのである。
 メディアもこうした問題を集中報道し、消費者にも製造地を意識しバングラデシュな
どを忌避する気分が生まれてきた。不買運動も懸念される情勢である。
 動きに押されるように、7月に入って、欧州主体の70社が、バングラデシュの委託
先の全社を点検し、問題があれば改装など安全性向上へ向け責任を持って即時に行動す
ることで合意した。
 支持基盤の労組の突き上げを受けていたオバマ米政権も、前後して、一定輸入品への
関税を免除する一般特恵関税制度(GSP)の適用をバングラデシュには停止すると決
定した。労働条件の是正圧力をかける狙いである。
 バングラデシュもさすがにこれにはたまらず、形ばかりの労働法修正に応じだしてい
る。
 さて、日本ではといえば、今回の事故への反応も冒頭の状況とそうは違わない。H&
MやGAPは日本にも出店しているし、日本のファストファッションなども欧米ほどで
はないにせよ、現地で委託生産しているというのに、異国の地の人権、人道問題に対す
る感度の鈍さは相変わらずだ。
 自らの食の安全や放射能汚染の問題となると超のつく過剰反応をするくせになぜ、と
皮肉の一つも言いたくなるのである。(論説副委員長)

■BOPビジネス展示関連セミナー「ペダルをこいでバングラデシュに飲み水を!」
 http://www.jica.go.jp/hiroba/event/201308.html
 (JICA地球ひろば 2013年8月23日)

日時:8月23日(金曜日)19時から20時30分
会場:JICA市ヶ谷ビル 6階 セミナールーム600【会場地図】
主催:JICA地球ひろば

JICA地球ひろばでは、「国別展示」と「企業のCSR・BOPビジネスによる国際協力活動紹
介」を隔月で実施しています。8月10日(土曜日)から9月5日(木曜日)までは、日本ベ
ーシック株式会社を取り上げます。
日本ベーシックは、災害用浄水器・浄水装置の専門メーカーです。同社は「自転車をこ
ぐだけで、1時間に150人分の飲料水を作る」という「シクロクリーン(=自転車一体型
浄水装置)」を開発し、災害時に備えて、自治体やマンションの管理組合などに販売し
ています。

この技術を、世界で安全な水を得ることが難しい人々のために役立てたいと考えた同社
は、コンサルタント会社の八千代エンジニアリングとタッグを組み、JICAの協力準備調
査(BOPビジネス連携促進)の採択案件として、アジアの最貧国と言われるバングラデシュ
のスラムでニーズ調査に乗り出しました。

同社がバングラデシュで拠点としている工場では、スラム住民のリキシャワラ(自転車
タクシーの運転手)が交替で自転車をこいで、スラムで配る水を試験的に製造していま
す。その一方で、「水を買ってもらうためには、なぜそれが必要かを理解してもらう必
要がある」と、現地の人々の衛生教育にも力を入れています。今年4月にはついに水販売
の許可がバングラデシュ政府から下り、本格的な事業スタートを迎えたところです。

セミナーでは、代表取締役社長の勝浦 雄一氏に、事業実施の経緯から現在の状況、今後
の展望などをお聞かせいただきます。現地の人々をパートナーとして、BOP層と共に新た
な価値を生み出していこうとする同社の取り組みに関心をお持ちの方は、どうぞご参加
ください。

講師:勝浦 雄一氏(日本ベーシック株式会社 代表取締役社長)
【略歴】1971年に三菱レイヨン(株)に入社。家庭用浄水器の販売等の業務に携わる。
クリンスイ部長、MRCホームプロダクツ株式会社常務取締役就任後、同社定年退職。後に
光洋産業株式会社常務取締役を歴任した後、2005年5月に日本ベーシックを設立、代表取
締役に就任。自転車一体型の浄水器を開発し、災害時や発展途上国での飲料水確保に活
用されている。

対象:ご興味のある方はどなたでも

定員:90名(先着順)

参加費:無料

参加方法:下記問合せ先まで、電話またはEメールにてお名前、ご連絡先をお知らせのう
え、お申込みいただくか、または下記の「お申込み」ボタンからお申込ください。

お問い合わせ:
JICA地球ひろば 地球案内デスク
電話番号: 0120-767278
Eメール: chikyuhiroba@jica.go.jp
関連リンク:
日本ベーシック株式会社ウェブサイト(外部サイト)

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